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為替介入とは?円買い・円売りの仕組みと、政府が市場に介入する理由

編集:お金をめぐる編集部 公開 約7分で読めます
為替介入とは?円買い・円売りの仕組みと、政府が市場に介入する理由
目次
  1. 為替介入とは?
  2. 誰が決めて、誰が行う?
  3. 円買い介入と円売り介入は何が違う?
  4. 介入のお金はどこから出る?
  5. 介入の実績はどこで確かめられる?
  6. 介入すれば為替レートは思いどおりになる?
  7. よくある質問

「政府・日銀が為替介入を実施」というニュースを聞くことがあります。為替レートは市場で決まるはずなのに、なぜ政府が売り買いに加わるのでしょうか。為替介入とは、通貨当局が外国為替市場で通貨を売り買いして、為替相場の急な動きを抑えようとすることです。日本では、決めるのは財務大臣で、実際の売り買いは日本銀行が代わりに行います。円安・円高の仕組みそのものは円安・円高とはで紹介したので、ここでは政府がどう関わるのかに絞って見ていきます。

  1. 為替介入の正式名称は外国為替平衡操作。相場が急に大きく動くのを抑え、落ち着かせるのがねらい
  2. 決めるのは財務大臣で、日本銀行は代理人として実務を行う。売り買いの元手は、国の外為特会(外国為替資金特別会計)が受け持つ
  3. 財務省は、介入の総額を1か月ごとに、実施日や売買した通貨などの詳細を四半期ごとに公表している

為替介入とは?

日本銀行の説明では、為替介入とは、国の通貨当局が円やドルなどを売り買いして、為替相場に働きかけることを指します。売り買いの場は外国為替市場です。正式名称は外国為替平衡操作です。ねらいは、相場が急に大きく動くのを抑え、落ち着かせることにあります。

前提にあるのは、為替相場は基本的に市場で決まる、という考え方です。財務省は、為替相場は各国の経済の実力(ファンダメンタルズ)を反映し、マーケットの需給で決まるものだと説明しています。ただし、思惑などで相場が実力から離れたり、短い間に大きく動いたりするのは好ましくない、とも述べています。そうした不安定なときに、相場を落ち着かせる目的で介入を行うことがある、という位置づけです。

つまり、介入は為替相場を政府が決めるための仕組みではありません。市場で決まる相場が、急に大きく揺れたときに使う手段です。

誰が決めて、誰が行う?

ここは、取り違えやすいところです。介入するかどうかを決める権限は、財務大臣にあります。根拠は外国為替及び外国貿易法の第7条第3項です。この条文は、財務大臣に、円の為替相場の安定に努めるよう求めています。

実際の売り買いをするのは日本銀行です。指示を受けて市場での売り買いの手続きを担うので、日本銀行は財務大臣の代理人という位置づけになります。日本銀行法の第40条第2項と、特別会計に関する法律の第77条が、その根拠として挙げられています。

決まるまでの流れは、次のとおりです。

  1. 日本銀行が、為替市場の情報を毎日、財務省に報告する
  2. 相場が急に動き、財務大臣が介入が必要だと判断すると、財務省が日本銀行に連絡する
  3. 日本銀行が、相場が動いた背景などの市場の情報を伝え、財務省が具体的な指示を出す
  4. 日本銀行が、外国為替市場で通貨を売り買いする

日本銀行が海外の通貨当局に介入を頼むこともあり、これを委託介入と呼びます。複数の国の通貨当局が話し合い、それぞれの資金で同時か続けて介入する協調介入もあります。

日本銀行の金融政策は、日本銀行の政策委員会が決めるものでした。為替介入は、決める人がそれとは違います。日本銀行の役割の全体は日本銀行とはで紹介しています。

円買い介入と円売り介入は何が違う?

介入には、向きが逆の2種類があります。日本銀行の説明を表にまとめました。

種類市場でやること主に使われる局面お金の出どころ
円買い介入ドルを売って円を買う急激な円安外為特会が持つ外貨の資産
円売り介入円を売ってドルを買う急激な円高政府短期証券を出して集めた円

円買い介入は、ドルを手放して円を手に入れるので「ドル売り・円買い介入」とも呼ばれます。円売り介入はその逆で、「ドル買い・円売り介入」です。円安が急に進みすぎたら、市場で円を買う側に回って円の値打ちを支える。円高が急に進みすぎたら、円を売る側に回る。向きを覚えるには、円をどちらに動かしたいかから考えると混乱しにくくなります。

介入のお金はどこから出る?

介入は通貨どうしの売り買いなので、円やドルのお金が要ります。その元手を受け持つのが、国の特別会計の一つである外為特会(外国為替資金特別会計)で、財務省が管理しています。

円売り介入では、まず国が政府短期証券を発行して、短い期間だけ円を借り入れます。その円を市場で手放し、代わりにドルを手に入れます。反対に、円買い介入では、外為特会が持っている外貨の資産を使います。財務省の資料によると、外貨建て債券を売るなどしてドルを用意し、そのドルを市場で売って円を買います。円を借りて始めるか、持っている外貨を使うかという点で、2つの介入は資金の用意のしかたが違います。

円売り介入などで手に入れた外貨は、外為特会が持ち続けます。こうした外貨は、現金にしやすく満期に確実に返ってくる国債等で運用されていると、日本銀行は説明しています。外為特会は、介入などに使う外国為替資金と、売り買いの損益や金利などを経理する部分の、2本の柱からできています。

介入の実績はどこで確かめられる?

公式な記録は、財務省が出している統計で確かめられます。介入があったかどうかと、使った金額が載っています。公表のしかたは2段階です。

  • 介入した総額:1か月ごとに公表
  • 実施日、金額、売買した通貨の詳細:四半期ごとに公表

1か月の区切りは、暦の月とずれています。たとえば2026年4月28日から5月27日までの期間の総額は、5月29日に公表されていて、11兆7,349億円でした。この時点では、何日に、どの通貨を、いくら売り買いしたかはまだわかりません。

詳細は、2026年8月7日の四半期の公表で明らかになりました。2026年4月から6月の期間の介入は、次の3回です。

実施日金額売買した通貨
2026年4月30日6兆2,787億円米ドル売り・日本円買い
2026年5月4日7,802億円米ドル売り・日本円買い
2026年5月6日4兆6,759億円米ドル売り・日本円買い

3回とも、米ドル売り・日本円買い、つまり円買い介入でした。

その後、2026年7月30日から8月26日までの期間にも、15兆3,993億円の介入がありました。2026年10月11日時点では、この期間について公表されているのは総額だけです。実施日や売買した通貨は、財務省が予定している四半期の詳細の公表で確かめることになります。報道で向きや日付が推測されることはありますが、公式に確かめられるのは財務省の公表が出てからです。

介入すれば為替レートは思いどおりになる?

そうとは限りません。財務省自身が、為替相場は基本的に市場の需給で決まると説明しています。介入は、相場を好きな水準に決める道具ではありません。日本銀行も、介入の目的を、急激な変動を抑えて安定させることだとしています。

円買い介入には、外為特会が持つ外貨の資産という、資金の面での制約もあります。また、金額が大きくても、それだけで相場を長い間、望む方向に動かし続けられるとは限りません。為替相場には、介入のほかにも、金利や貿易、投資など多くの要因が同時に働いています。

ニュースを読むときは、実績と効果を分けて考えることが大切です。介入の金額や日付は、財務省の公表で確かめられる事実です。一方、介入した翌日に為替レートが動いたとしても、それだけで介入の効果だと断定することはできません。同じ日に、金利の見通しや経済の指標など、ほかの材料で相場が動いていることもあります。

よくある質問

為替介入は日本銀行が決めている?

いいえ。決めるのは財務大臣で、日本銀行は代理人として実務を行います。日本銀行が自分で決めるのは金融政策のほうで、日本銀行の金利の決め方は政策金利とはで紹介しています。

介入があったかどうかは、すぐわかる?

総額は1か月ごとに財務省が公表します。実施日や通貨などの詳細は四半期ごとの公表なので、詳細がわかるまでには時間がかかります。

  • 為替介入(外国為替平衡操作)は、通貨当局が市場で円やドルを売り買いし、相場の急な動きを抑えようとするもの
  • 決めるのは財務大臣(外為法第7条第3項)で、日本銀行は代理人として実務を行う。お金は外為特会のものを使う
  • 円買い介入は外為特会の外貨の資産からドルを用意して売り、円売り介入は政府短期証券で借り入れた円を売ってドルを買う
  • 財務省は総額を1か月ごと、詳細を四半期ごとに公表する。2026年4〜6月期は円買い介入が3回・計11兆7,349億円。翌日の相場の動きだけで効果とは言えない

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