レジで110円を払うと、そのうちお店に残るのはいくらなのでしょうか。100円ショップの商品は、どれも安く見えます。それでも店は全国に広がり、会社は利益を出しています。上場していて決算書を公開している100円ショップ、セリアの数字を使って、110円の売上がどこへ行くのかを分けてみました。
- 110円のうち10円は消費税で、店の売上は100円。その100円を、セリアの決算の比率で分けると、原価が約58円、利益は約8円
- 残りの約34円は、給料と手当(約13円)、家賃(約11円)、そのほかの経費(約10円)に使われている
- ここでの金額は、会社全体の決算を売上100円あたりに縮めた平均。一つ一つの商品の採算ではない
01 110円のうち、お店の売上になるのはいくら?
まず、レジで払う110円を分けます。ダイソーの公式通販サイトでは、多くの商品の値段が「100円(税込110円)」と書かれています。国税庁によると、消費税の標準税率は10%です。つまり110円のうち10円は消費税で、店の売上になるのは100円です。
食品などは軽減税率の8%がかかるので、同じ100円の商品でも税込108円になります。ダイソーの公式通販でも、「100円(税込108円)」と書かれた商品があります。
02 売上100円は何に使われている?
ここからは、セリアの2026年3月期の決算短信を使います。損益計算書の数字を売上高で割って、売上100円あたりに直すと、次のようになります。全商品を合わせた平均で、一つ一つの商品の内訳ではありません。
| 使い道 | 売上100円あたり |
|---|---|
| 商品の原価 | 58.3円 |
| 給料と手当 | 12.6円 |
| 家賃 | 11.3円 |
| そのほかの経費 | 9.7円 |
| 営業利益 | 8.2円 |
いちばん大きいのは、商品を仕入れる代金にあたる原価で、売上の6割近くを占めます。原価を引いた残り、売上総利益は41.7円です。そこから、店で働く人の給料と手当、店を借りる家賃などを払い、最後に残るのが約8円です。1年分の金額で見ると、売上2,556億円に対して、営業利益は209億円でした。
03 原価は、仕入れた金額と同じ?
少し違います。原価に入るのは、その年に売れた商品の分だけです。セリアの損益計算書では、年の初めにあった在庫に、その年に仕入れた商品を足します。そこから年の終わりに残った在庫を引いたものが、原価です。
2026年3月期に仕入れた商品は1,513億円で、原価は1,489億円でした。在庫は、年の初めの236億円から、年の終わりには260億円に増えています。売れずに残った商品は、在庫として次の年に持ち越され、その年の原価には入りません。
04 そのほかの経費には何がある?
表の「そのほかの経費」9.7円には、いろいろな費用がまとめて入っています。損益計算書の費目を、大きいものから並べました。
| 費目 | 売上100円あたり |
|---|---|
| 減価償却費 | 2.1円 |
| 水道光熱費 | 1.6円 |
| 荷造運搬費 | 1.1円 |
| 支払手数料 | 1.1円 |
| 法定福利費 | 1.1円 |
| 租税公課 | 0.6円 |
| 広告宣伝費 | 0.4円 |
| 残りの費目 | 1.8円 |
それぞれ四捨五入しているので、足すと9.8円になります。残りの費目には、賞与や修繕維持費、消耗品費などが入っています。最初の表の「給料と手当」12.6円は「給料及び手当」の行だけで、賞与や法定福利費はこちらに入れています。
目を引くのは広告宣伝費で、売上100円あたり0.4円でした。給料と手当や家賃と比べると、桁が一つ違います。
05 利益が出るのはなぜ?
数字から読み取れるのは、「原価を6割弱に抑えて、残りの4割で店の費用をまかなっている」という形です。売上100円のうち、原価と、給料・家賃・その他の経費を合わせると約92円になり、手元に残るのは約8円です。
セリア全体の決算を売上100円あたりに直すと、営業利益は約8円です。売上2,556億円の会社なので、金額にすると209億円になります。ただし、これは100円以外の商品も含めた会社全体の平均です。商品ごとの原価率は違い、一つ一つの商品をいくらで仕入れているかも公表されていません。
06 最後に手元に残るのはいくら?
ここまでの約8円は営業利益で、店を営業してあげた利益です。決算短信には、ほかにもいくつかの利益が載っています。
| 利益 | 金額 | 売上100円あたり |
|---|---|---|
| 営業利益 | 209億円 | 8.2円 |
| 経常利益 | 212億円 | 8.3円 |
| 当期純利益 | 146億円 | 5.7円 |
経常利益は、営業利益に、受取利息など営業以外の収入と支出を足し引きしたものです。そこから、店の資産の価値を引き下げた減損損失(約4億円)と、法人税などの税金(61億円)を引くと、当期純利益になります。税金だけで、売上100円あたり2.4円です。
税金などまで差し引いた当期純利益は、売上100円あたり約5.7円です。これも会社全体の平均で、110円の商品1個の利益ではありません。
07 去年と比べるとどう変わった?
前の年の決算も、同じように売上100円あたりに直して並べてみます。
| 使い道 | 前の年 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 商品の原価 | 58.6円 | 58.3円 |
| 給料と手当 | 12.6円 | 12.6円 |
| 家賃 | 11.6円 | 11.3円 |
| そのほかの経費 | 10.1円 | 9.7円 |
| 営業利益 | 7.1円 | 8.2円 |
売上は8.2%増えました。原価と給料と手当も、ほぼ同じ7.7%の増え方です。一方で、家賃は5.0%、そのほかの経費は4.1%しか増えていません。費用の増え方が売上より小さかった分、売上100円あたりの家賃や経費が下がり、営業利益は7.1円から8.2円になりました。金額では24.5%の増加です。
セリアは決算短信で、原価率が0.3ポイント、経費の売上に対する割合が0.8ポイント下がったと説明しています。経費の割合が下がった理由としては、前からある店の売上が増えたことなどを挙げています。
08 何が売れている?
100円ショップでは食品も売っていますが、売上の中心は別のところにあります。セリアの商品区分別の売上を見ると、雑貨が98.8%で、菓子・食品は1.1%でした。セリアの売上は、ほとんどが雑貨です。
09 1店舗でどれくらい売れている?
セリアの店は、2026年3月期の末に2,134店ありました。1年の間に直営店を117店出し、55店を閉めています。前の年からある直営店の売上は、前の年の105.5%でした。
直営店の売上を、期末の直営店2,101店で割ると、1店舗あたり年に約1億2,000万円になります。1日に直すと約33万円です。すべてが税抜100円の商品だったとすると、1店舗で1日に約3,300個が売れている計算になります。期の途中で店の数は変わっているので、あくまで目安です。
10 ダイソーはどれくらい大きい?
セリアよりさらに大きな規模で展開しているのが、ダイソーを展開する大創産業です。会社概要によると、2026年2月末の売上高は、連結で7,710億円、単体で6,983億円でした。セリアの売上のおよそ3倍にあたります。
店舗数は国内外で5,891店で、国内が4,784店、海外が1,107店です。国内の店をブランド別に見ると、DAISOが3,955店です。ほかにStandard Productsが228店、THREEPPYが601店あります。大創産業は上場していないので、会社概要に載っている業績は売上高だけで、利益は載っていません。
会社の始まりは、1972年に家庭用品を売る店として始まった矢野商店です。1977年に株式会社大創産業になり、1991年に直営店の1号店として高松店を開きました。
11 110円以外の商品もある?
100円ショップといっても、すべてが100円とは限りません。ダイソーの公式通販サイトには、「300円(税込330円)」や「500円(税込550円)」の商品も並んでいます。100円の商品が中心であることは変わりませんが、値段の幅は少し広がっています。
12 これからの課題は?
いいことばかりではありません。セリアは決算短信で、次の年度は売上原価率などが上がると見込んでいます。原価率の見通しは59.0%で、前の年より0.7ポイント高い数字です。売上は7.0%増の2,736億円を見込む一方、営業利益は0.6%増の211億円にとどまる見通しです。
セリア自身は、商品の仕様を見直して原価の上昇を抑えることに力を入れているとしています。決算短信では、原油価格の上昇で、原材料を仕入れる費用が高止まりするおそれにも触れています。物価が高いので、お金を使うのを控える人が増えているという見方にも触れています。売上100円のうち約58円を占める原価が少し上がるだけで、約8円の利益は大きく削られます。
13 よくある質問
100均の値段と物価の関係は?
物の値段が全体として上がり続ける状態は、インフレと呼ばれます。くわしくはインフレとはで紹介しています。
セリアとダイソーの数字は、同じ時期のもの?
少しずれています。セリアは2026年3月期の決算、ダイソーの会社概要は2026年2月末時点の数字です。比べるときは、およその大きさの目安として見てください。
1円玉は何でできている?
レジのおつりでよく出る1円玉については、1円玉はなぜアルミ?で紹介しています。
100円玉や10円玉の図柄の意味は?
110円を払うときに使う硬貨の図柄については、硬貨の絵柄の意味は?で紹介しています。
- 110円のうち10円は消費税で、店の売上は100円。セリアの決算で分けると、原価約58円、給料と手当約13円、家賃約11円、その他の経費約10円、利益約8円
- 税金などを引いて最後に残るのは、売上100円あたり約5.7円
- これらは会社全体の決算を売上100円あたりに縮めた平均で、商品1個の採算ではない。セリアは2,134店、1店舗あたりの売上は年に約1億2,000万円が目安
- セリアは次の年度、原価率の上昇を見込んでいる。原価が少し上がるだけで、売上100円あたり約8円の営業利益は大きく削られる

