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株式会社の仕組みとは?株主と取締役の役割、株主総会・配当・有限責任

編集:お金をめぐる編集部 公開 約10分で読めます
株式会社の仕組みとは?株主と取締役の役割、株主総会・配当・有限責任
目次
  1. 株式会社とは?
  2. 株式会社はどのくらいある?
  3. 株主と取締役は何が違う?
  4. 株主総会では何を決める?
  5. 取締役会はどの株式会社にもある?
  6. 株主は会社の借金を払う?
  7. 利益が出たら、配当は必ずもらえる?
  8. 上場していない株式会社は何が違う?
  9. よくある質問

会社の名前の前や後ろに付いている「株式会社」。毎日のように目にする言葉です。ただ、株を持っている人と、会社の仕事を進めている人は、法律の上では別の役割です。この違いは、ふだんあまり意識されません。この記事では、会社法の条文をもとに、株式会社で株主と取締役がそれぞれ何をし、利益がどう分けられるのかを整理します。

  1. 株式会社では、株主が株式を持ち、取締役が会社の業務を担う
  2. 株主は、株主総会で取締役を選ぶなど重要な決定に関わる。ただし、日々の経営をすべて自分で行うわけではない
  3. 株主の責任は、引き受けた株の金額まで。配当はそのたびに決議で決まり、株を持っていれば必ずもらえるものではない

株式会社とは?

株式会社は、会社が株式を発行し、その株式と引き換えに出資を集められる形の会社です。その株式を持っている人を、株主と呼びます。ただし、株を買ったお金がいつも会社に入るわけではありません。新しく発行された株か、すでにある株の売り買いかで違います(上場とはで説明しています)。会社法は会社を4種類としていて、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社をいうと定めています(第2条)。また、会社は法人とするとされています(第3条)。会社そのものが、株主とは別の存在として扱われます。

株主が持つ権利のうち、会社法が最初に挙げているのは次の3つです(第105条)。

条文の言葉かみくだくと
剰余金の配当を受ける権利会社の利益などから、配当を受け取る権利
残余財産の分配を受ける権利会社をたたむときに、残った財産の分配を受ける権利
株主総会における議決権株主総会で、賛成・反対の票を入れる権利

この3つの中に、「会社の仕事を自分で進める権利」は入っていません。株主は持ち主としての権利を持ちますが、仕事を進めるのは別の人、という作りになっています。

株式会社はどのくらいある?

国税庁の会社標本調査(令和6年度分)で組織別の法人数を見ると、いちばん多いのが株式会社です。

組織法人数構成比
株式会社2,692,201社89.7%
合同会社215,081社7.2%
合資会社10,916社0.4%
合名会社2,986社0.1%
その他78,496社2.6%
合計2,999,680社100.0%

株式会社は約269万社で、調査の対象になった法人のおよそ9割です。この数字の株式会社は、旧有限会社を含むものです。休業中や清算中の法人は数に入っていません。令和6年4月から令和7年3月までに終わった事業年度を対象にした、標本調査による推計です。

一方、東京証券取引所の上場会社数は、2026年9月末で3,890社でした(外国会社5社を含みます)。調べた時期や対象は異なりますが、上場会社の数は株式会社全体と比べてずっと少ないことが分かります。株式会社だからといって、その株が市場で売り買いされているとは限りません。上場の意味は上場とはで説明しています。

株主と取締役は何が違う?

「会社の持ち主は株主」と聞くと、株主が会社を動かしているように思えます。会社法では、株式を持つ株主と、会社の業務を執行する取締役を、別の役割として定めています。

取締役会を置かない会社で仕事を進めるのは、原則として取締役です(第348条)。取締役会がある会社では、代表取締役などが業務を執行します(第363条)。その取締役を選ぶのは、株主総会です(第329条)。

株主は、取締役を選ぶことで経営に関わります。日々の仕事を進めるのは取締役です。

株主でない人も取締役になれます。公開会社では、取締役を株主に限ると定款で決めることはできません(第331条第2項)。反対に、公開会社でない株式会社なら、定款で取締役を株主だけにすることもできます。会社法の「公開会社」は、上場している会社という意味ではありません(上場とはで説明しています)。

株主総会では何を決める?

株主総会は、株主が集まって会社の大事なことを決める場です。会社法では、定時株主総会は毎事業年度の終了後、一定の時期に開くことになっています(第296条)。

原則として、株式1株につき1個の議決権があります。ただし、単元株式数を定款で定めている会社では、1単元につき1個です(第308条)。株主総会で議決権を使える事項を制限した種類の株式を発行することもできます(第108条)。

ふつうの決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席者の議決権の過半数が賛成すれば決まります(第309条第1項)。この条件は、定款で変えている会社があります。決める内容によって、別の条件になるものもあります。取締役の選任(第341条)や定款の変更(第309条第2項)がその例です。

株主総会で決められることの範囲は、取締役会があるかどうかで違います(第295条)。

会社株主総会で決められること
取締役会がない会社会社法に定める事項と、会社に関する一切の事項
取締役会がある会社会社法に定める事項と、定款で定めた事項

見比べると、取締役会を置いた会社のほうが、株主総会で決められることは絞られます。取締役会がある会社では、業務執行の決定は取締役会が行います。

取締役会はどの株式会社にもある?

すべての株式会社に取締役会があるわけではありません。会社法では、まず取締役は1人いればよく、取締役会は定款で決めれば置くことができる、という形になっています(第326条)。

ただし、公開会社などには取締役会を置く義務があります(第327条)。取締役会を置く会社では、取締役は3人以上が必要です(第331条第5項)。取締役会の仕事は、業務執行の決定、取締役の職務の執行の監督、代表取締役の選定と解職です(第362条)。

項目取締役会なし取締役会あり
取締役1人以上3人以上
業務を執行取締役(原則)代表取締役など
株主総会一切の事項法律と定款の事項
代表取締役定めることもできる取締役会が選ぶ

法務局は、株式会社を設立するときの登記の申請書の見本を公開しています。その見本も、「取締役会設置会社の発起設立」と「取締役会を設置しない会社の発起設立」に分かれています。取締役会を置かなければ、取締役が1人だけの株式会社も、会社法の上では成り立ちます。

株主は会社の借金を払う?

株主としての責任には、上限があります。会社法は、株主の責任は持っている株式の引受価額を限度とすると定めています(第104条)。会社が借金を返せなくなっても、その借金を株主が当然に肩代わりするわけではありません。

ほかの種類の会社と比べると、この点がはっきりします。合名会社・合資会社・合同会社は、会社法で「持分会社」とまとめられています。持分会社では、出資した人を「社員」と呼びます。ここでの社員は、働いている従業員のことではありません。

会社の種類出資した人の責任
株式会社株主は、株の引受価額を限度とする
合同会社全員が有限責任社員
合資会社一部が無限責任社員、ほかは有限責任社員
合名会社全員が無限責任社員

会社法の第576条で、会社の種類ごとに社員の責任が決まっています。持分会社の社員は、会社の財産で借金を返しきれない場合などに、連帯して返す責任を負います(第580条)。有限責任社員の責任は出資の価額が限度で、すでに会社に払い込んだ分はそこから除かれます。合名会社のように全員が無限責任社員の会社では、この上限がありません。

利益が出たら、配当は必ずもらえる?

株を持っていれば毎年配当が届く、とは限りません。会社法の書き方は、株式会社は株主に配当をすることができる、です(第453条)。

配当するときは、その都度、株主総会の決議で、配当する財産やその総額などを決めます(第454条)。条件を満たす会社では、定款で決めれば配当を取締役会が決められるようにもなります(第459条)。取締役会がある会社は、中間配当を定款で決めておくこともできます。1事業年度の途中で1回に限り、取締役会の決議で配当をするものです。

配当できる額にも上限があります。配当として株主に渡すお金などの総額は、分配可能額を超えてはならないとされています(第461条)。利益が出た年でも、配当するかどうか、いくらにするかは、こうした決議と上限の中で決まります。

もう一つ、第105条第2項の決まりがあります。配当を受ける権利と残余財産の分配を受ける権利の両方を、株主にまったく与えないとする定款の定めは、効力がありません。株主から2つの権利を両方とも取り上げることはできない、という決まりです。毎年の配当を約束する条文ではありません。

上場していない株式会社は何が違う?

上場しているかどうかで、株主・取締役・株主総会という基本の仕組みが変わるわけではありません。違いが大きいのは、株の売り買いのしかたです。

会社法は、株主は持っている株式を譲渡することができる、としています(第127条)。一方で会社は、すべての株について、譲るときには会社の承認が要ると定めることもできます(第107条)。上場は、その株を証券取引所の市場で売り買いできるようにすることです。上場していない株式会社の株は、取引所の市場では売り買いされていません。上場の条件や、上場で何が変わるかは上場とはにまとめています。

よくある質問

株を1株でも持っていれば、株主総会で投票できる?

会社によります。会社法は1株に1個の議決権を原則にしていますが、単元株式数を定款で定めた会社では1単元に1個です(第308条)。議決権を使える事項を制限した種類の株式もあります(第108条)。例として、日本取引所グループ(JPX)は、同社の株式を100株以上持つ株主について説明しています。持っている単元数に応じて、株主総会や書面、インターネットで議決権を使えるというものです。100株はJPXの例で、どの株式会社も同じではありません。

社長と代表取締役は同じ?

会社を代表する人として会社法が定めているのは、代表取締役です(第349条)。「社長」という言葉は、会社法の第354条に出てきます。代表取締役ではない取締役に、「社長」「副社長」など会社を代表する権限があるように見える名前を付けた場合の決まりです。その取締役がした行為について、事情を知らない相手(善意の第三者)に対して会社が責任を負います。社長という呼び名と、代表取締役という立場は、法律の上では別のものです。

日本銀行は株式会社?

違います。日本銀行は、自らの説明の中で、株式会社ではなく、株主総会もないとしています。どんな組織なのかは日本銀行とはで紹介しています。

  • 株式会社では、株主が株式を持ち、取締役が会社の業務を担う。取締役は株主総会で選ぶ
  • 株主の権利は、配当・残余財産の分配・株主総会の議決権の3つが基本。仕事を自分で進める権利は含まれない
  • 取締役会はすべての株式会社にあるわけではない。公開会社などは置く義務があり、置くと取締役は3人以上
  • 株主の責任は、株の引受価額まで(有限責任)
  • 配当は毎回の決議で決まり、分配可能額という上限がある。株を持っていれば必ずもらえるものではない
  • 国税庁の調査で株式会社は約269万社。東証の上場会社は2026年9月末で3,890社

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