五千円札は、一万円札の陰に隠れがちなお札です。けれども歴史をたどると、一万円札より先に生まれ、券が新しくなるたびに顔を替えてきた、なかなか個性のある額面です。1957年の聖徳太子から津田梅子まで、4つの券で4人が顔になっています。
- 五千円札は1957年に始まり、一万円札より約1年2か月早い
- 4つの券で顔は4人。券が新しくなるたびに顔が替わった
- 長さ、すき入れ、ホログラム、識別マークと、一万円札と見分ける工夫が世代ごとに加わった
01 五千円札はいつ始まった?
一万円札と五千円札、どちらが先に生まれたかと聞かれたら、一万円札と答える人が多いかもしれません。実は先なのは五千円札です。
最初の五千円札は、1957年10月1日に発行が始まった聖徳太子の券です。一万円札の始まりは1958年12月1日なので、五千円札のほうが約1年2か月早く世に出ています。
大きさは80×169mmでした。同じ聖徳太子の一万円札(84×174mm)と比べると、縦が4mm低く、横が5mm短いだけです。
02 五千円札の顔は何人いた?
ここがおもしろいところです。五千円札は、券が新しくなるたびに必ず顔が替わってきました。
| 発行開始 | 顔 | 大きさ |
|---|---|---|
| 1957年 | 聖徳太子 | 80×169mm |
| 1984年 | 新渡戸稲造 | 76×155mm |
| 2004年 | 樋口一葉 | 76×156mm |
| 2024年 | 津田梅子 | 76×156mm |
一万円札と並べてみると、違いがよく分かります。一万円札も4つの券がありますが、顔は3人です。福沢諭吉が、1984年と2004年の2つの券で続けて顔を務めたからです。五千円札には、そういう「続投」が一度もありません。
03 一万円札と取り違えないための工夫は?
五千円札と一万円札は、額面の差が5,000円あるのに、大きさは近いお札です。見比べると、一万円札と見分けるための違いが、世代ごとに増えてきたことが分かります。
- 1984年:横155mm。一万円札(160mm)より5mm短い
- 2004年:光に透かすと見える縦棒(すき入れ)が2本。一万円札は3本
- 2004年:傾けると浮かぶ「5000」の文字は表面の中央下。一万円札の「10000」は左下
- 2014年5月12日から:ホログラムの透明な部分の大きさと形を、一万円札と違うものにした
- 2024年:ホログラムは中央寄り(一万円札は左寄り)
- 2024年:指で触る識別マークは上下(一万円札は左右の中央)
2014年の変更は、一万円札と見分けやすくするためだと、日本銀行ははっきり書いています。ホログラムの透明な部分は光沢のある透明なシールで、触ると印刷の部分と手ざわりが違います。目で見るだけでなく、指先でも違いが分かるようにした変更です。
2024年のお札は、額面によってホログラムの形と置き場所が違い、すき入れも同じように変えてあります。すき入れについては、一万円札と五千円札、五千円札と千円札のように、隣り合う額面で形と配置がそろわないようにしてあります。
偽造を防ぐ技術そのものの移り変わりは、一万円札とほぼ同じ流れです。一万円札の歴史で世代ごとに並べています。
04 五千円札の大きさは変わった?
大きさは2回変わっています。1984年に80×169mmから76×155mmへ小さくなり、2004年には横が1mm長くなって156mmになりました。
長く使っていると気づきにくいですが、この1mmで横の差は5mmから4mmになりました。見分けるための違いが増えてきた一方で、長さだけを見ると、一万円札との差は少し縮まったわけです。なぜ1mm長くしたのかは、日本銀行の資料には書かれていません。
最初の80×169mmから比べると、今の五千円札は横が13mm短くなっています。今のお札どうしの長さの比べ方は五千円札の重さと大きさにあります。
05 裏の図柄は?
財布の中で表ばかり見ていると忘れがちですが、今発行されている五千円札は、2つとも裏が花の図柄です。2004年の樋口一葉の券は尾形光琳の「燕子花図」、2024年の津田梅子の券はフジ(藤)です。
顔は替わっても、裏の花は続いている。五千円札は、そんな並び方になっています。
06 よくある質問
昔の五千円札は今も使える?
聖徳太子と新渡戸稲造の五千円札も、今も使えるお札の一覧に入っています。財布から出てきても、そのまま五千円として支払いに出せます。顔と額面の一覧は今も使えるお札の肖像 一覧にあります。
五千円札と一万円札は、手ざわりで見分けられる?
見分けられます。日本銀行は、触って額面を見分ける手がかりを挙げています。ざらつきのある識別マーク(額面ごとに形が違う)と、お札の長さです。一万円札と五千円札では、ホログラムの透明な部分の手ざわりも手がかりになります。
一万円札の顔は何人?
聖徳太子・福沢諭吉・渋沢栄一の3人です。詳しくは一万円札の歴史にあります。
- 五千円札は1957年に始まり、一万円札より約1年2か月早い
- 4つの券で顔は4人。券が新しくなるたびに顔が替わり、続投は一度もない
- 長さ・すき入れ・ホログラム・識別マークと、一万円札と見分ける工夫が世代ごとに重ねられてきた

