一万円札の歴史は、思ったほど「顔」が替わっていません。1958年に聖徳太子で始まってから66年。登場した人物は、聖徳太子・福沢諭吉・渋沢栄一の3人だけです。その一方で、偽造を防ぐ技術は、券が新しくなるたびに少しずつ加えられてきました。
- 一万円札は1958年に始まり、66年で顔は3人。券としては4つある
- 過去2回の切り替えでは、新旧の券の発行が約1年2か月〜約2年5か月重なった。今は2004年と2024年の券がともに発行中の一覧にある
- 偽造を防ぐ技術は、すかしと凹版印刷から始まり、ホログラムや立体に見える肖像へと加わってきた
01 一万円札はいつ始まった?
最初の一万円札は、1958年12月1日に発行が始まった聖徳太子の券です。大きさは84×174mm。今の一万円札よりひと回り大きなお札でした。
今も使える一万円札は、この聖徳太子の券を含めて4つあります。
| 顔 | 発行開始 | 発行停止 |
|---|---|---|
| 聖徳太子 | 1958年12月 | 1986年1月 |
| 福沢諭吉 | 1984年11月 | 2007年4月 |
| 福沢諭吉 | 2004年11月 | 発行中 |
| 渋沢栄一 | 2024年7月 | 発行中 |
2004年の福沢諭吉の券も、日本銀行の「現在発行されている銀行券」の一覧に、渋沢栄一の券と並んで入っています。
02 一万円札の顔は何人いた?
1958年から2024年までの66年で、顔は3人です。同じ人が2つの券にまたがるので、券は4つになります。
最初の聖徳太子は、1958年から福沢諭吉の券が出るまでの26年間、一万円札の顔でした。
福沢諭吉は特に長く、1984年から2024年まで40年間、一万円札の顔を務めました。途中の2004年にデザインは変わりましたが、肖像だけはそのまま。財布の中で「一万円札=福沢諭吉」という時代が、かなり長く続いたことになります。
そして2024年、渋沢栄一に替わりました。
裏の図柄も変わっています。2004年の券は平等院の鳳凰像、2024年の券は東京駅(丸の内駅舎)です。福沢諭吉が40年顔を続けた話は一万円札の重さと大きさにもあります。
03 新しい券と古い券は、同時に出ていた?
新しいお札が出た日に、古いお札がいっせいに消えるわけではありません。数字で見ると、古い券の発行はしばらく続いていました。
- 聖徳太子→福沢諭吉(1984年):古い券の発行停止は1986年1月4日。重なりは約1年2か月
- 福沢諭吉(1984年)→福沢諭吉(2004年):古い券の発行停止は2007年4月2日。重なりは約2年5か月
そして今も、2004年の福沢諭吉の券と2024年の渋沢栄一の券は並んでいます。どちらも日本銀行の「現在発行されている」一覧に入っています。発行を止めたあとも、古い券は今まで使えるお金のままです。
04 一万円札の大きさは変わった?
今の一万円札の大きさは、福沢諭吉の券が出た1984年から変わっていません。聖徳太子の券は84×174mm、福沢諭吉の券から76×160mmです。
縦は8mm、横は14mm短くなりました。面積で比べると、約17%小さくなっています。今の一万円札を聖徳太子の券に重ねると、上下左右にはみ出しが出るほどの差です。
05 偽造を防ぐ技術はどう増えてきた?
日本銀行は、世代ごとの一万円札に入っている偽造防止技術を紹介しています。ここでは、その世代で新しく挙げられたものを並べました。
- 聖徳太子(1958年):紙の厚さを変えて作るすかし、細密画線、インキを盛り上げる凹版印刷の3つ
- 福沢諭吉(1984年):すかしで入れた識別マーク(目の不自由な人のため)、超細密画線
- 同じ券の1993年12月1日から(記番号が褐色):ごく小さな文字(マイクロ文字)と、紫外線を当てると光る印章
- 福沢諭吉(2004年):ホログラム、3本の縦棒が透けて見えるすき入れ、傾けると「10000」の文字が浮かぶ潜像模様、ピンク色の光沢のパールインキ、深凹版印刷
- 同じく2004年:識別マークを、すかしから深凹版印刷に変えた
- 渋沢栄一(2024年):肖像が立体的に見えて回転するホログラム(お札への採用は世界で初めて)、肖像のすかしの背景に入った高精細すき入れ
- 同じく2024年:識別マークを11本の斜線に統一し、額面数字を大きくした
少し変わっているのが、識別マークの歩みです。最初はすかしで入れられ、2004年にざらつきのある深凹版印刷になり、2024年には形が11本の斜線にそろえられました。偽造を防ぐ技術と並んで、見分けやすさの工夫も世代ごとに進んでいます。
今の券の技術の見つけ方は一万円札の重さと大きさのページにまとめています。
06 聖徳太子の一万円札は今も使える?
日本銀行は、今も有効なお札の一覧に聖徳太子の一万円札を載せています。
ただし日本銀行によると、聖徳太子の一万円札のような古い券は、世の中で使われている現金を扱う機械では、すでに取り扱いの対象外になっているとみられます。そのため、傷んでいなくても日本銀行の本店や支店の窓口で、今のお札と引き換えてもらえます。
07 よくある質問
一万円札より高いお札はある?
今発行されているお札でいちばん高いのは一万円札です。今も使えるお札の顔と額面は今も使えるお札の肖像 一覧で見られます。
お札全体の歴史は?
日本銀行のお札が1885年に始まってからの流れは日本のお札の歴史にまとめています。
- 一万円札は1958年の聖徳太子に始まり、66年で顔は3人、券は4つ
- 過去2回の切り替えでは、新しい券が出たあとも古い券の発行が約1年2か月〜約2年5か月重なった。今は2004年の券と2024年の券がともに発行中の一覧にある
- 偽造防止技術は世代ごとに加わり、識別マークはすかしから深凹版印刷、11本の斜線へと変わった

