千円札は、財布の中でいちばん見慣れたお札かもしれません。ところが歴史をさかのぼると、顔は5人も替わっています。そしてもうひとつ、千円札には「番号の色」がよく変わるという、あまり知られていない個性があります。
- 千円札の顔は5人。今も使えるお札を額面ごとに見ると、千円札がいちばん多い
- 縦の長さは、1950年の最初の券から今まで76mmのまま
- 2004年の券で、番号(記番号)の色が2回変わったのは千円券だけ
01 千円札の顔は何人いた?
今も使える千円札は、5つの券があります。顔も5人で、券が新しくなるたびに替わってきました。
| 発行開始 | 顔 | 大きさ |
|---|---|---|
| 1950年 | 聖徳太子 | 76×164mm |
| 1963年 | 伊藤博文 | 76×164mm |
| 1984年 | 夏目漱石 | 76×150mm |
| 2004年 | 野口英世 | 76×150mm |
| 2024年 | 北里柴三郎 | 76×150mm |
新しい券が出ても、古い券がすぐ消えたわけではありません。聖徳太子と伊藤博文、伊藤博文と夏目漱石の券は、それぞれ約1年2か月並んで発行されていました。古い券の発行が止まったのは、1965年1月と1986年1月です。
額面ごとに顔の数を数えると、一万円札が3人、五千円札が4人、千円札が5人です。一万円・五千円・千円で見ると、高いお札ほど顔が少なく、身近なお札ほど顔が多い。偶然かもしれませんが、そういう並びになっています。
02 千円札の大きさは変わった?
横の長さは1984年に一度だけ変わり、164mmから150mmへ、14mm短くなりました。
一方で、縦は変わっていません。1950年の聖徳太子の券から今の北里柴三郎の券まで、5つとも縦76mmです。数字で追うと、縦の長さだけは76年間そのままということになります。一万円札や五千円札は、1984年に縦も76mmへそろえられました。今も使える千円札は、どれも最初からその高さでした。
今のお札どうしの大きさの比べ方は千円札の重さと大きさにあります。
03 番号の色が変わるのはなぜ?
お札の表をよく見ると、英字と数字が並んだ番号があります。日本銀行はこれを「記番号」と呼んでいます。財布の千円札を何枚か並べると、この番号の色が違うことがあります。
日本銀行によると、2004年のお札の番号は、出始めのころは黒でした。番号の組み合わせを使い切って一巡すると、色を変えて刷っているのです。
- 一万円券:2011年7月から褐色
- 五千円券:2014年5月から褐色(見分けやすくする変更に合わせて)
- 千円券:2011年7月から褐色、2019年3月から紺色
ここが千円札らしいところです。2004年の券で色が2回変わったのは千円券だけで、黒・褐色・紺色の3色があります。2011年から2019年までの8年で、また番号を一巡したことになります。
もっと前の券でも、番号の色は変わっています。夏目漱石の千円札は黒・青・褐色・暗緑色の4色、伊藤博文の千円札は黒・青の2色です。こちらは、色を変えたわけまでは日本銀行の資料に書かれていません。
2024年のお札は、記番号のしくみが変わりました。頭と末尾にアルファベットが2文字ずつ入り、使うのはIとOを除く24文字です(数字の1と0に間違えやすいため)。数字の並びは90万通り。全部の組み合わせを使い切るまでに、2,985億9,840万枚かかります。番号の色は黒です。
04 千円札だけの工夫はある?
あります。2004年の野口英世の券には、千円券だけの偽造防止技術として「潜像パール模様」が入っています。見る角度によって、文字の「千円」と数字の「1000」が現れる仕掛けです。光に透かすと見える縦棒(すき入れ)は1本です。
ホログラムにも千円札らしさがあります。日本銀行の2004年の券の紹介では、一万円券と五千円券にはホログラムがあり、千円券の欄には挙がっていません。2024年の北里柴三郎の券で、四角いパッチ型のホログラムが左下に入りました。一万円札と五千円札は帯の形(ストライプ型)なので、ここで見分けられます。指で触る識別マークは左下と右上です。
裏の図柄も見ておきます。2004年の券は富士山と桜、2024年の券は葛飾北斎の「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」です。
05 昔の千円札は今も使える?
聖徳太子・伊藤博文・夏目漱石の千円札も、今も使えるお札の一覧に入っています。財布の奥から出てきても、そのまま千円として支払いに出せます。顔と額面の一覧は今も使えるお札の肖像 一覧にあります。
06 よくある質問
番号の色がほかと違う千円札は、にせ札?
日本銀行は、記番号の色が他と違っていても、すぐににせ札というわけではないと説明しています。上で見たとおり、番号を一巡すると色を変えて刷っているからです。
一万円札・五千円札の歴史は?
- 千円札の顔は5人。今も使えるお札を額面ごとに見ると、千円札がいちばん多い
- 縦は1950年から76mmのまま。横は1984年に14mm短くなった
- 2004年の券で記番号の色が2回変わったのは千円券だけ。番号を一巡したためと日本銀行は説明している

