引き出しの奥から、オリンピックや万博の記念硬貨が出てくることがあります。きれいなまま取っておくのも一つですが、ふだんの買い物で出せるのかどうかも気になるところです。答えから言うと、記念硬貨はお金として使えます。ただ、「法律上使える」ことと「お店や自販機ですんなり使える」ことは、少し別の話です。
- 記念硬貨も法律上はれっきとした「貨幣」。ふだんの硬貨と同じ扱いで使える
- ふだんの硬貨と素材や大きさが違い、自販機では受け付けないことがある。銀行などの窓口でふだんの硬貨に替えられる
- 高い値段で手に入れた記念硬貨も、支払いに出せば額面どおりにしか数えられない
01 記念硬貨はお金として使える?
財務省の説明では、記念硬貨の根拠は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」です。この法律のうえで「貨幣」とされているので、どの記念硬貨も、ふだんの硬貨と変わらない扱いで使えます。
記念硬貨の歴史は、1964年の東京オリンピックに合わせた千円銀貨から始まります。これより古い記念硬貨は存在しません。そこから、オリンピックや万国博覧会、皇室のお祝いごとなどに合わせて、閣議決定を経て国家的記念事業として出されてきました。
60年以上前の記念硬貨でも、今のお金として通用する。ふだんの100円玉や500円玉と、法律上の立場は同じです。
02 どんな額面の記念硬貨がある?
記念硬貨には、ふだんの硬貨にはない額面もあります。造幣局の記念貨幣一覧を見ると、額面は100円から10万円まで7種類です。
| 額面 | 一覧で最初に出てくる例 |
|---|---|
| 100円 | 東京オリンピック記念の銀貨(1964年) |
| 500円 | 国際科学技術博覧会記念の白銅貨(1985年) |
| 1,000円 | 東京オリンピック記念の銀貨(1964年) |
| 5,000円 | 国際花と緑の博覧会記念の銀貨(1990年) |
| 10,000円 | 天皇陛下御在位60年記念の銀貨(1986年) |
| 50,000円 | 皇太子殿下御成婚記念の金貨(1993年) |
| 100,000円 | 天皇陛下御在位60年記念の金貨(1986年) |
いちばん小さい100円と、いちばん大きい10万円では、額面が1,000倍違います。10万円金貨は、1枚で一万円札10枚分にあたる硬貨です。
03 お店や自販機で使える?
法律上は、お店でも記念硬貨で払えます。ただ、硬貨には「額面価格の20倍まで、法貨として通用する」という決まりがあり、記念硬貨も同じです。たとえば10万円の記念硬貨なら、20枚分の200万円までが、法貨として通用する範囲にあたります。この決まりそのものは貨幣・紙幣・硬貨・通貨の違いにくわしく書いています。
つまずきやすいのは、自動販売機です。記念硬貨は銀や金でできていたり、直径がふだんの硬貨と違ったりします。こうした硬貨は、自販機に入れてもはじかれることがあります。
そこで財務省は、使うときは銀行などの金融機関の窓口で、ふだんの硬貨に引き換えてから使うよう案内しています。手間は一度かかりますが、そのほうが確実です。
04 銀行で替えてもらえる?
持って行く先は、近くの銀行などの金融機関か、日本銀行の窓口です。そこで、ふだんの硬貨と取り替えてもらえます。
気になるのが、替えたあとの行き先です。造幣局の説明をたどると、窓口で集まった記念硬貨は、まず日本銀行へ、そこから造幣局へと送られます。そこではもう硬貨ではなく、国が持つ地金として扱われます。造幣局は、素材ごとに鋳つぶして、新しく発行する硬貨の材料に使うとしています。傷んで回収された硬貨全般について、財務局は、原則として硬貨の材料に回し、使わない分は地金にして売却していると説明しています。
回収された記念硬貨は、そのまま世の中に出し直されるのではなく、地金として処理されるということです。手放す前に、残しておくかどうかを考えておいてもいいかもしれません。
05 高く買った記念硬貨を使うとどうなる?
記念硬貨の中には、額面より高い値段で売られたものもあります。代表的なのがプレミアム貨幣です。金や銀などの貴金属を使っていて、製造の費用が額面を超えるため、造幣局が額面を下回らない値段で販売しています。日本でこの売り方が始まったのは、長野オリンピックの記念金貨からでした。
ただし、こうした記念硬貨も、使うときは額面のままです。造幣局は、購入した値段では使えないとはっきり書いていて、集めておくことを勧めています。表面に光沢を持たせた収集用のプルーフ貨幣も、同じく造幣局が販売しているものです。
では、記念硬貨に額面以上の値打ちがあるのかというと、造幣局は、市場での価値は把握していないとしています。このページでも、売り買いの値段は扱いません。使うか、残すか。少なくとも「使えば額面」という点だけは、決める前に知っておくと安心です。
06 よくある質問
記念硬貨はどこで手に入る?
貴金属を使ったプレミアム貨幣や、収集用のプルーフ貨幣は、造幣局が販売しています。それ以外の記念硬貨は、取扱金融機関の窓口で、額面で引き換えるのが基本です。
貨幣セットに入っている硬貨も使える?
造幣局によると、貨幣セットの中の硬貨も、記念硬貨を含めてすべてお金として使えます。ふだんの硬貨の移り変わりは日本の硬貨の歴史、500円玉の種類は新しい500円玉と旧500円玉の違いにまとめています。
古いお札も同じように使える?
お札にも、昔の券で今も使えるものがあります。くわしくは古いお札の確かめ方にまとめています。
- 記念硬貨は法律上の「貨幣」。1964年の東京オリンピック記念から、すべてふだんの硬貨と同じように使える
- 額面は100円から10万円まで7種類。自動販売機では使えないことがあるので、銀行などの窓口でふだんの硬貨に替えると確実
- 高く買った記念硬貨も、使えば額面のまま。窓口で替えた記念硬貨は地金として処理される

