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硬貨の一生とは?傷んだら溶かされ、新しい硬貨の材料に戻るまで

編集:お金をめぐる編集部 公開 約6分で読めます
硬貨の一生とは?傷んだら溶かされ、新しい硬貨の材料に戻るまで
目次
  1. 硬貨はどこから世の中に出てくる?
  2. 世の中にはどれくらいの硬貨がある?
  3. 使われた硬貨はどこへ戻る?
  4. 硬貨の寿命はどれくらい?
  5. 使えなくなった硬貨はどうなる?
  6. 回収された硬貨は、もうお金ではない?
  7. 地金はどうやって売られる?
  8. お札の一生とどこが違う?
  9. よくある質問

お札は、一万円券でも平均4〜5年ほどで役目を終えます。硬貨はもっと長く、世の中を回り続けます。造幣局で生まれた硬貨がどうやって財布に届き、どこへ戻り、最後にどうなるのか。日本銀行・造幣局・財務省の資料と法律から、硬貨の一生をたどります。

  1. 硬貨は造幣局が作り、政府が発行する。日本銀行に交付された時点で発行になり、金融機関を通じて世の中へ出ていく
  2. 寿命は何年とは決まっていない。造幣局は、30年ほど人の手を渡ると、すり減りや汚れが目につき始めると説明している
  3. 使えなくなった硬貨は、造幣局で素材ごとに溶かされ、新しい硬貨の材料に戻る。裁断されるお札との大きな違い

硬貨はどこから世の中に出てくる?

硬貨の一生は、造幣局の工場から始まります。ただし、作った造幣局が、そのまま世の中に送り出すわけではありません。日本銀行によると、硬貨を発行するのは政府です。硬貨がお金として世に出たと数えられるのは、造幣局から日本銀行に渡ったときです。

その先は、お札と同じ道をたどります。銀行などの金融機関は、日本銀行の当座預金からお金を引き出すときに、硬貨を受け取ります。そこから、預金を下ろした人や企業へと渡っていきます。

工場でどう作るかは硬貨はどうやって作られる?、作る所と発行する所の違いは造幣局とはで紹介しています。

世の中にはどれくらいの硬貨がある?

日本銀行の統計によると、2026年9月末の貨幣流通高は4兆5,787億円でした。同じ月末のお札(日本銀行券発行高)は114兆2,474億円です。お札と硬貨を合わせた金額のうち、硬貨は約4%にあたります。

9月の平均残高で比べると、硬貨の流通高は前の年の同じ月より1.2%少なくなっています。

使われた硬貨はどこへ戻る?

世の中で使われた硬貨の一部は、日本銀行に戻ってきます。造幣局の説明では、日本銀行に集まった硬貨は、まず選別されます。まだ十分に通用する硬貨は、枚数を確かめてから、また世の中に戻されます。

お札も、日本銀行に戻ると枚数を数えられ、本物かどうか、傷みや汚れがどの程度かを調べられます。本物で、まだ使えるお札は、再び金融機関に支払われます。日本銀行を起点に、出ては戻るという動きは、お札も硬貨も同じです。

硬貨の寿命はどれくらい?

造幣局は、硬貨の寿命は何年とははっきりわからない、としています。法律で流通が止められるか、傷んで回収されるかしない限り、半永久的に世の中を動いていると考えてほしい、という説明です。

ひとつの目安として、造幣局は30年ほどという数字を挙げています。そのくらい人の手を渡ると、表面がすり減ったり、汚れが目についたりしてくるそうです。お札はどうかというと、一万円券が平均4〜5年、つり銭でよく行き来する五千円券と千円券は1〜2年ほどです。並べてみると、硬貨が世の中にいる時間の長さがわかります。

使えなくなった硬貨はどうなる?

日本銀行に戻った硬貨には、ひどくすり減ったものや、形や色が変わったものもあります。こうした硬貨は、もう使えない「流通不便貨」として分けられます。一定の量がたまると、作った造幣局に戻され、素材ごとに溶かされて、再び硬貨の材料になります。

造幣局の令和6年度の事業報告書にも、この流れが書かれています。すり減るなどして古くなった硬貨は、世の中から回収されます。改鋳で新しい硬貨に置き換えられた古い硬貨も同じです。どちらも、国から造幣局に渡されます。造幣局は、この回収貨幣を、製造の途中で出るスクラップ(返り材)と一緒に溶解炉に入れます。そこから、硬貨用の金属の塊(鋳塊)を作っています。

造幣局は、回収貨幣と返り材の再利用100%を、計画の項目に掲げています。5円玉は黄銅、10円玉は青銅でできていて、成分の割合には幅を持たせて管理しています。造幣局はその説明の中でも、回収した硬貨を溶かして材料に使うリサイクルに触れています。

回収された硬貨は、もうお金ではない?

回収された硬貨の扱いは、貨幣回収準備資金に関する法律に書かれています。政府が引き換えたり回収したりした硬貨は、国の「貨幣回収準備資金」に入れて持つことになっています。そのときの値打ちは、額面ではなく、地金の時価で数えます。

資金に入った地金は、硬貨の材料として造幣局に渡すことができます。必要があれば、売り払うこともできます。地金を預かる役目も、造幣局に任せられます。

造幣局は、記念硬貨を例に説明しています。記念硬貨を銀行などでふだんの硬貨に替えると、その記念硬貨は日本銀行を通って造幣局へ帰ってきます。帰ってきた時点で、もう貨幣ではありません。国が持つ地金という扱いになり、造幣局が預かります。そして素材ごとに溶かされ、新しく発行する硬貨の材料になります。

地金はどうやって売られる?

財務省は、地金の売払いを一般競争入札で行っています。問い合わせ先は、理財局の貨幣回収準備資金係です。

令和8年度の見通しでは、入札は8回予定されています。各回とも、おおむね3区分・合わせて約300トンの地金が予定されています。種類は洋白・青銅・白銅などで、1区分あたり約100トンです。8回分を足すと、約2,400トンです。

地金は、大きな塊で売られます。標準的な白銅の1塊は、長さ約1,450mm、幅約290mm、高さ約145mmで、重さは約530kgです。長さは約1.45mあり、約100トンの白銅は約190塊になります。引き取る場所は、広島市にある造幣局広島支局です。

お札の一生とどこが違う?

お札と硬貨の一生を並べると、次のようになります。

項目お札硬貨
作る所国立印刷局造幣局
発行する所日本銀行政府
発行になる時点金融機関が当座預金を引き出したとき日本銀行へ交付された時点
使われる期間一万円券で平均4〜5年決まっていない(30年ほどで、すり減りや汚れが目につき始める)
使えなくなったら裁断。一部は再利用、残りは焼却溶かされ、硬貨の材料として再利用

いちばん違うのは、最後の行です。お札は、日本銀行の点検で使えないとされたら、細かく切り刻まれます。裁断くずの一部はトイレットペーパーなどに生まれ変わり、残りは自治体の施設で焼却されます。硬貨は溶かされて、もう一度、硬貨の材料になります。お札がたどる道はお札の一生とは?で紹介しています。

よくある質問

傷んだ硬貨は交換できる?

日本銀行の本店や支店に持ち込むと、法令の基準に基づいて引き換えてもらえます。どこまで引き換えてもらえるかは、硬貨を傷つけたり溶かしたりすると違法?で紹介しています。

記念硬貨も買い物に使える?

日本銀行によると、記念硬貨も通常の硬貨と同じように使えます。ただ、記念硬貨は素材も大きさもさまざまなので、自動販売機では受け付けないこともあります。そのときは、日本銀行か金融機関の窓口に持っていけば、ふだんの硬貨に替えてもらえます。これまでの記念硬貨は記念硬貨の一覧にまとめています。

自分で硬貨を溶かしてもいい?

いけません。硬貨をわざと傷つけたり溶かしたりすることは、どんな目的であっても、貨幣損傷等取締法で禁じられています。

  • 硬貨は造幣局が作り、政府が発行する。日本銀行へ交付された時点で発行になり、金融機関を通じて世の中に出ていく
  • 日本銀行に戻った硬貨は、使えるものは再び世の中へ、使えない流通不便貨は造幣局で素材ごとに溶かされ、新しい硬貨の材料になる
  • 回収された硬貨は、法律上、貨幣回収準備資金に入り、地金の時価で数えられる。造幣局に渡して材料にするほか、売り払うこともできる

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