財布のお札を見ると、どれにも人の顔があります。あの人物は、だれかが一人で決めているわけではありません。国立印刷局によると、財務省・日本銀行・国立印刷局の三者で話し合い、最後は財務大臣が決めます。選び方そのものに法令の決まりはありません。
- お札の肖像は、財務省・日本銀行・国立印刷局の三者で話し合い、最後は財務大臣が決める
- 選び方に法令の決まりはなく、おおよその理由に沿って選ばれている
- 1881年からこれまでに20人。いちばん多いのは聖徳太子で、7種類のお札に登場した
01 肖像はだれが決める?
お札の肖像を含む様式について話し合うのは、財務省・日本銀行・国立印刷局の3つの機関です。役割を並べると、話し合いの顔ぶれの意味が見えてきます。
| 機関 | お札との関わり |
|---|---|
| 財務省 | 通貨行政を担う |
| 日本銀行 | お札を発行する |
| 国立印刷局 | お札を製造する |
この三者で話し合ったうえで、日本銀行法にもとづいて財務大臣が決めます。使う側から見ると、お札を刷る機関まで話し合いに入っているのは、少し意外かもしれません。
財務大臣が定めた様式は、公示されます。2024年のお札では、財務省告示で新しい様式が定められました。告示は官報に載り、どちらの面が正式な表かも、このとき示されます。
02 選び方に決まりはある?
「法律で細かい条件が決まっているはず」と思いがちです。ところが国立印刷局によると、肖像の選び方には法令などによる制約はなく、おおよその理由に沿って選ばれています。国立印刷局が挙げているのは、次の3つです。
- 偽造を防ぐ観点から、できるだけ精密な写真が手に入ること
- 彫刻にしたとき、品格のあるお札にふさわしい肖像であること
- 国民の多くが知っていて、その業績にも広い評価があること
現在のお札の顔が明治以降の人物から選ばれているのは、この3つを踏まえた結果だと説明されています。2024年の3人については、新紙幣の人物の記事で一人ずつ取り上げています。
03 これまでに何人が肖像になった?
日本のお札に初めて肖像が入ったのは、1881年の改造紙幣壱円券です。そこから2024年7月に出た今のお札まで、合わせて20人が肖像になっています。
神功皇后、板垣退助、菅原道真、和気清麻呂、武内宿禰、藤原鎌足、聖徳太子、日本武尊、二宮尊徳、岩倉具視、高橋是清、伊藤博文、福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石、野口英世、樋口一葉、北里柴三郎、津田梅子、渋沢栄一
143年で20人です。日本銀行が出したお札だけでも56種類あることを思うと、顔ぶれは多くありません。同じ人物が何度も登場した例もあります。財布に入ってくる可能性のあるお札の顔は、お札の肖像 一覧にまとめています。
04 いちばん多く登場したのはだれ?
答えは聖徳太子です。7種類のお札に肖像として登場しています。
| お札 | 発行年 |
|---|---|
| 乙百円券 | 1930年 |
| い百円券 | 1944年 |
| ろ百円券 | 1945年 |
| A百円券 | 1946年 |
| B千円券 | 1950年 |
| C五千円券 | 1957年 |
| C一万円券 | 1958年 |
並べてみると、1930年から1958年までの28年間に7種類が出ています。そのうち4種類は百円券で、その後は千円、五千円、一万円と、額面の大きいお札に移っています。表の最後のC一万円券が、聖徳太子が肖像になった最後のお札です。
05 女性の肖像はいつから?
女性の肖像は、思ったより早くから登場しています。日本で初めての肖像入りのお札は、明治の政府紙幣で、その顔は古代神話に登場する神功皇后でした。
日本銀行が出すお札、つまり日本銀行券に限ると、初めての女性はE五千円券の樋口一葉です。2024年の五千円札では津田梅子が肖像になりました。20人のうち女性は3人です。
二千円札の裏には紫式部の顔も描かれています。ただし、国立印刷局はこれを肖像ではないとしていて、20人には入っていません。
06 肖像はいつも右側?
今のお札を思い浮かべると、肖像はどれも向かって右側にあります。国立印刷局の説明では、右に置くのが基本ではあるものの、そう決められているわけではありません。
例外もあります。1915年の乙拾円券では、和気清麻呂の顔が左寄りに配置されています。財布の中の見慣れた配置も、決まりではなく慣例に近いものだと分かります。
07 よくある質問
なぜお札には人の顔が描かれている?
国立印刷局の説明では、人は顔や表情の小さな変化によく気づきます。お札の肖像は、この目の性質を利用したものです。肖像の線の細かさは新紙幣の人物の記事でも触れています。
お札の表はどちら?
正式には、財務大臣の告示で「表面」とされた面が表です。今の一万円札・五千円札・千円札では肖像のある面、二千円札では守礼門の面が表になります。
お札の歴史全体を知りたい
お札がいつ始まり、何種類出てきたかは日本のお札の歴史にまとめています。
- 肖像は財務省・日本銀行・国立印刷局の三者で話し合い、日本銀行法にもとづいて財務大臣が決める
- 選び方に法令の決まりはない。国立印刷局が挙げるのは、精密な写真・品格・広く知られた業績
- 1881年から20人。聖徳太子は7種類、女性は3人。肖像は基本的に右側だが、左側の券もある

