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新紙幣の人物はなぜ選ばれた?財務省が示した理由と肖像の3つの条件

編集:お金をめぐる編集部 公開 約5分で読めます
渋沢栄一の一万円札と虫眼鏡、電卓
目次
  1. 新紙幣の顔は誰になった?
  2. 財務省は、選んだ理由をどう説明している?
  3. お札の顔に求められる3つの条件とは?
  4. なぜお札に人の顔を使うの?
  5. 3人はそれぞれ何をした人?
  6. 裏の図柄はどうやって選ばれた?
  7. お札の顔は誰が決める?
  8. よくある質問

新しいお札の顔が発表されたとき、「なぜこの3人なのか」と思った人もいるかもしれません。財務省は、その答えをFAQで説明しています。そこには、3人を選んだ理由と、お札の顔そのものに求める条件が、別々に書かれています。

  1. 財務省は3人を「傑出した業績」を残し、日本の近代化を引っぱった人物だと説明している
  2. 近年のお札の顔は、精密な写真・品格・広く知られた業績という3つの観点から、明治以降の人物が選ばれている
  3. 裏の図柄は、お札の色やイメージに合わせて選ばれている

新紙幣の顔は誰になった?

財務省が2019年4月9日に発表した新しいお札の顔は、次の3人です。

お札顔生没年
一万円札渋沢栄一1840〜1931
五千円札津田梅子1864〜1929
千円札北里柴三郎1853〜1931

生まれた年は24年離れていますが、亡くなった年を並べると、3人とも1929年から1931年の2年の間に入っています。生きた時代が大きく重なる3人です。

財務省は、選んだ理由をどう説明している?

財務省の説明の中心は、次の2点です。

  • 3人とも、自分の分野で「傑出した業績」を残した
  • 今につながる課題である「新たな産業の育成、女性活躍、科学の発展」の面でも、日本の近代化を引っぱった

そのうえで、毎日のように手に取るお札の顔として、3人ともふさわしいと考えている、と結んでいます。

読むときに気をつけたいのは、この3つの面が、3人まとめての説明だということです。並び順は渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎と同じなので、一人ずつに当てはめたくなります。けれども財務省のFAQは、「この人はこの面で」と一人ずつ結びつけて書いてはいません。

お札の顔に求められる3つの条件とは?

財務省は、3人に限らず、近年のお札の顔を選ぶときの観点も示しています。

  1. 偽造を防ぐため、なるべく精密な写真が手に入ること
  2. 彫刻で描いたときに、お札にふさわしい「品格」のある顔であること
  3. 国民に広く知られ、業績が広く認められている人物であること

近年の改刷では、この3つを踏まえたうえで、明治以降の人物から選ばれています。条件の1つ目に「写真」が入っているのは、少し意外に感じるかもしれません。業績が大きいだけではなく、顔をくわしく描ける資料があることも、お札の肖像には必要なわけです。

なぜお札に人の顔を使うの?

条件の1つ目が偽造防止と結びついているわけは、国立印刷局の説明を読むと分かります。人は顔の見分けが得意で、少しのずれやぼやけにもすぐ気がつきます。お札の肖像が少しずれたり、ぼやけたりしていれば、「何か変だ」と感じやすい。お札に肖像を使うのは、この人間の特性を偽造を防ぐために使っているのです。

肖像は非常に細かく、細いところでは1ミリに約10本もの線が引かれています。財務省の「精密な写真」という条件も、国立印刷局が説明する肖像の役目も、どちらも偽造を防ぐという同じ目的から出ています。

3人はそれぞれ何をした人?

財務省の発表資料には、3人の業績が短くまとめられています。

  • 渋沢栄一(一万円札):設立などに関わった企業は、生涯で約500にのぼるといわれる。実業界の中心で活躍した。第一国立銀行、東京株式取引所(今の東京証券取引所)、東京商法会議所(今の東京商工会議所)などがその例。教育・社会事業・民間外交にも力を注いだ
  • 津田梅子(五千円札):1871年に岩倉使節団とともに海を渡った、最初の女子留学生の一人。1900年に女子英学塾(今の津田塾大学)を開くなど、近代的な女子高等教育に力を注いだ
  • 北里柴三郎(千円札):破傷風菌だけを取り出して育てることに世界で初めて成功し、血清を使った破傷風の治療法を確立した。ペスト菌も発見。私立伝染病研究所や私立北里研究所を開き、後進の育成にも力を注いだ

年を数えてみると、1864年生まれの津田梅子は、岩倉使節団に同行した1871年には6歳か7歳です。「最初の女子留学生の一人」は、それほど幼い年齢でした。

裏の図柄はどうやって選ばれた?

財務省によると、裏の図柄の候補になったのは、日本を代表する「歴史と伝統、美しい自然、文化」です。決め手のひとつは、券種の色味やイメージに合うかどうかです。

  • 茶色の一万円券:東京駅丸の内駅舎。1914年に完成した「赤レンガ駅舎」で、2003年に国の重要文化財になった
  • 紫色の五千円券:フジ(藤)。古事記や万葉集にも出てくる、古くから親しまれてきた花
  • 青色の千円券:富士山をモチーフにした葛飾北斎の「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」

ここがおもしろいところです。裏の図柄は、意味だけでなく、お札の色と合うかどうかでも選ばれています。紫の五千円札に紫の藤、という組み合わせは、そう聞くと納得がいきます。

お札の顔は誰が決める?

日本銀行によると、肖像などのお札のデザインを決めて公表するのは財務大臣です。何円のお札を作るかという種類のほうは、政令という形で決まります。

よくある質問

前のお札の顔も、同じ条件で選ばれた?

財務省は、3つの観点を「近年の改刷」で踏まえているとしています。何年の改刷から使っている観点なのかまでは、FAQには書かれていません。

今も使えるお札の顔をまとめて見たい

今も使える25種類のお札の顔は今も使えるお札の肖像 一覧にあります。新しいお札がいつから出ているかは新紙幣はいつから?にまとめています。

  • 財務省は、3人が「傑出した業績」を残し、日本の近代化を引っぱったと説明している。3つの面は3人まとめての説明
  • お札の顔は、精密な写真・品格・広く知られた業績という3つの観点から、明治以降の人物が選ばれている
  • 肖像は偽造防止のため。裏の図柄は、お札の色やイメージに合わせて選ばれた

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