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日本の硬貨に実在の人物がいないのはなぜ?明治の龍と2010年の坂本龍馬

編集:お金をめぐる編集部 公開 約5分で読めます
日本の硬貨に実在の人物がいないのはなぜ?明治の龍と2010年の坂本龍馬
目次
  1. 今の硬貨には何が描かれている?
  2. お札に人物が描かれているのはなぜ?
  3. 明治の硬貨に天皇の肖像はなかったの?
  4. 人物が描かれた硬貨は一つもないの?
  5. 今のふだんの硬貨に人物を使わないのはなぜ?
  6. よくある質問

財布の中の硬貨を見ても、人の顔が描かれたものはありません。お札には渋沢栄一や津田梅子がいるのに、硬貨は植物や建物ばかりです。造幣局の説明をたどると、明治の初めの判断に行き着きます。ただし、日本の硬貨に人物が一度も登場していないわけではありません。

  1. 今のふだんの硬貨6種類の図柄は植物や建物で、人物の肖像はない
  2. 明治の初め、元首の肖像を入れる意見もあった。それでも、天皇の肖像が人々の手に触れて汚れるのは恐れ多いとして、龍の図柄が選ばれた(造幣局の説明)
  3. 記念貨幣では、2010年の地方自治法施行60周年記念貨幣で、坂本龍馬や大隈重信など、実在した人物が初めて図柄に登場した。今のふだんの硬貨に人物を使わない理由は、公的な資料にはっきり書かれていない

今の硬貨には何が描かれている?

まず、手元にある硬貨の絵柄から確かめます。日本銀行の一覧によると、6種類の表の図柄は次のとおりです。

硬貨表の図柄
1円玉若木
5円玉稲穂、歯車、水
10円玉平等院鳳凰堂、唐草
50円玉菊花
100円玉桜花
500円玉桐

並べてみると、植物と建物だけで、人の顔はありません。造幣局の説明では、硬貨の図柄によく使われるのは菊・桜・桐といった植物の模様です。ほかに稲、富士山、寺院の建物なども使われてきました。それぞれの絵柄が何を表すかは硬貨の絵柄の意味にまとめています。

お札に人物が描かれているのはなぜ?

硬貨と比べたくなるのが、お札です。国立印刷局の説明では、肖像を入れるねらいは、人が顔のちょっとした差にすぐ気づくことを生かす点にあります。

ただ、これはお札についての説明です。硬貨に人物がいない理由として書かれているわけではありません。お札の肖像の選び方はお札の肖像画はどう決まる?で紹介しています。

明治の硬貨に天皇の肖像はなかったの?

硬貨に人物がいない話は、明治の初めまでさかのぼります。造幣局によると、明治政府が新しい硬貨を作るとき、欧米のように元首の肖像を入れてはどうかという意見もありました。

それでも肖像は採用されませんでした。天皇の肖像が人々の手に触れて汚れるのは「恐れ多い」とされ、代わりに龍の図柄が選ばれた、と造幣局は経緯を紹介しています。天子の顔を龍顔と呼ぶことにも触れています。

1871年(明治4年)の新貨条例では、龍紋のある面が硬貨の表とされました。龍紋は、天皇の肖像の代わりという位置づけです。造幣局は、こうした流れから、天皇や皇室の方に限らず、実在した人物の肖像を使った硬貨は発行されてこなかったとしています。

人物が描かれた硬貨は一つもないの?

記念貨幣まで広げると、人の姿が描かれた硬貨はあります。

1990年(平成2年)の国際花と緑の博覧会記念の5,000円の銀貨には、花冠の少女が描かれています。財務省の一覧では、人間の暮らしと自然・植物との調和を表す図柄と説明されています。造幣局が初めての実在の人物を2010年の硬貨としているので、この少女は実在の人物ではありません。

実在した人物が初めて図柄に登場したのは、地方自治法施行60周年記念貨幣です。2010年(平成22年)に出た高知県分には坂本龍馬、同じ年の佐賀県分には大隈重信が描かれました。財務省は、このシリーズで実在の人物が初めて貨幣の題材になったと紹介しています。造幣局は、高知県分の1,000円の銀貨と500円のバイカラー・クラッド貨に描かれた坂本龍馬を、日本で初めて実在の人物をデザインした貨幣として挙げています。

同じ地方自治法施行60周年記念貨幣のシリーズでは、その後も人物が登場します。財務省の一覧で、1,000円の銀貨の図柄の説明に名前が出てくる7人を並べました。

人物都道府県年銘
坂本龍馬高知県平成22年
大隈重信佐賀県平成22年
白瀬矗秋田県平成23年
双葉山大分県平成24年
伊達政宗宮城県平成25年
渋沢栄一埼玉県平成26年
野口英世福島県平成28年

このうち坂本龍馬・大隈重信・白瀬矗の3人は、500円の硬貨にも描かれています。渋沢栄一と野口英世は、お札の肖像にもなった人物です。記念貨幣の全体は記念貨幣の一覧で確かめられます。

今のふだんの硬貨に人物を使わないのはなぜ?

いちばん知りたいところですが、答えははっきりしません。造幣局の説明は、明治に龍を選んだことと、そのあと実在の人物の硬貨が出てこなかったことまでです。今のふだんの硬貨に人物を使っていない理由まで、それより踏み込んで書いた説明は見当たりません。今回確かめた造幣局・財務省・日本銀行の資料での話です。

分かっているのは、デザインの決め方です。硬貨のデザインは、財務省の求めで造幣局の職員が作るか、一般から図案を募るかして、最後は閣議で決まります。決め方は示されていても、人物を選ばない理由までは示されていません。ここは推測で埋めずにおきます。

よくある質問

天皇陛下の記念硬貨にも、顔は描かれていない?

財務省の一覧で、天皇陛下の御在位や御即位を記念した硬貨の図柄を見ると、鳳凰や菊花紋章、皇居、高御座などが並びます。図柄の説明に肖像は出てきません。

坂本龍馬の記念硬貨は今も使える?

財務省によると、記念貨幣はふだんの硬貨と同じように使えます。自動販売機に入れると、受け付けられないことはあります。お店や銀行での扱いは記念硬貨の授業にまとめています。

  • 今のふだんの硬貨6種類の図柄は植物と建物で、人物の肖像はない
  • 明治の初めに元首の肖像の案もあったが、天皇の肖像が手に触れて汚れるのは恐れ多いとして龍が選ばれた。実在の人物の硬貨はその後も出てこなかった
  • 2010年の地方自治法施行60周年記念貨幣で、坂本龍馬や大隈重信など実在した人物が初めて図柄に登場した。今のふだんの硬貨に人物を使わない理由は、公的な資料にはっきり書かれていない

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