お金の話を記事やチラシにするとき、お札や硬貨の写真を入れたくなることがあります。気をつけたいのは、Webに載せるのか、紙に印刷するのか、商品にするのかで、注意の度合いが変わる点です。財務省などの案内と法律の条文から、どこに線があるのかを整理しました。
- 撮った写真をホームページやブログに載せること自体は、通貨及証券模造取締法の取締りの対象ではない(財務省)。ただし、その写真が印刷されると法律に触れる可能性がある
- お札や硬貨と紛らわしいものを作ったり売ったりすることは禁止で、罰則は3年以下の拘禁刑。デザインにしたものや、印刷物・商品に使うものも触れる可能性がある
- 大きさなどの具体的な基準はなく、図柄の似せ方・大きさ・材質・「見本」の文字・斜線などで総合的に判断される。財務省も事前の判断はできないとしている
01 お札や硬貨を写真に撮ってWebに載せるのは?
ブログやホームページで使う場合から見ていきます。撮った写真を自分のブログやホームページに出すこと自体は、通貨及証券模造取締法で取り締まる対象には入らない、というのが財務省の説明です。
ただし、財務省は続けて注意も書いています。Webに載せた写真が印刷されると、同じ法律に触れる可能性があるという点です。画面に表示するだけの場合と、紙に出す場合とで、扱いが分かれています。
02 チラシやグッズに使うのは?
紙のチラシや本、グッズに使う場合は、注意の度合いが上がります。財務省によると、お札や硬貨をデザインにしたものは、通貨及証券模造取締法に触れる可能性があります。一部でも全部でも、印刷物や商品に使う場合も同じです。
判断のときに見られる点として、財務省は次のものを挙げています。
- 図柄の似せ方の程度
- 大きさ
- 材質
- 「見本」の文字があるか
- 斜線が入っているか
これらを合わせて、総合的に判断されます。どれかを満たせば安心、という書き方にはなっていません。
03 本物と紛らわしいものを作るとどうなる?
禁止されている行為は、法律の条文で確かめられます。通貨及証券模造取締法は1895年(明治28年)にできた法律で、第1条で、お金などと紛らわしい見た目のものを作ることと売ることを禁じています。財務省も、お札と硬貨の両方について、紛らわしいものの製造や販売を禁止していると説明しています。
第2条の罰則は、3年以下の拘禁刑です。第3条では、刑法によって没収される場合を除き、こうした品物は、誰のものであっても警察官が壊すことになっています。財務省によると、法律に触れる場合は、あとから捜査当局の取締りの対象になります。
これとは別に、本物として使うつもりでお金を作ると、刑法の通貨偽造の罪になります。刑法第148条では、行使の目的で偽造した場合の刑は無期又は3年以上の拘禁刑です。財務省は、偽物のお金は、コピーなどで作るのも使うのも犯罪だとしています。
04 広告や教材ではどこまで使える?
いちばん知りたいのは、ここだと思います。ただ、はっきりした線は示されていません。造幣局によると、具体的な大きさの基準はありません。
財務省は、本物と見誤るほどでなくても、使う場所や時、相手によっては本物と思わせる危険があるとしています。そのため、法律に触れるかどうかを事前に判断することはできない、という立場です。造幣局も、どんな場合に違反になるかは、硬貨を作る機関として法律的な判断はできないという立場です。
迷うときの問い合わせ先として、国立印刷局と造幣局がそろって挙げているのは、財務省理財局国庫課通貨企画調整室です。お札を広告や出版物、ネットで使いたいという相談は、国立印刷局のよくある質問にも載っています。答えは、デザインにした程度や大きさ、材質などを合わせて判断する、というものです。
05 お札と硬貨で決まりは違う?
法律の上では、同じ通貨及証券模造取締法が両方にかかわります。財務省の説明も、お札と硬貨の両方を並べています。
案内している機関は分かれています。お札は国立印刷局、硬貨は造幣局がそれぞれよくある質問で答えていて、どちらも詳しいことは財務省に問い合わせるよう案内しています。日本銀行は、高解像度のお札の画像は提供していないとしたうえで、ホームページのお札の画像を使いたい場合の問い合わせ先を案内しています。
日本銀行は、お札の複製にかかわる法律として、刑法や通貨及証券模造取締法のほかに、紙幣類似証券取締法やすき入紙製造取締法なども挙げています。偽造を防ぐしくみは偽造防止技術の記事にまとめています。
06 よくある質問
お札をコピー機でコピーするのは?
財務省は、偽物のお金はコピーなどで作るのも使うのも犯罪だとしています。偽物と思われるお金を見つけたら、使わずに警察に届けるよう呼びかけています。
硬貨を傷つける話とは違う?
違う法律です。硬貨そのものを傷つけたり溶かしたりする話は貨幣損傷等取締法の記事で、お札の肖像の決まり方はお札の肖像画の記事で紹介しています。
- 撮った写真をWebに載せること自体は取締りの対象ではないが、印刷されると法律に触れる可能性がある
- 紛らわしいものの製造・販売は通貨及証券模造取締法で禁止。罰則は3年以下の拘禁刑で、品物は、刑法による没収の場合を除き、警察官が壊す
- 具体的な基準はなく総合判断。財務省も事前の判断はできないとしているので、迷うときは財務省の担当窓口に問い合わせる

