財布の小銭を手のひらに広げると、穴のあいた硬貨が2種類だけ混ざっています。5円玉と50円玉です。ほかの4種類にはない穴が、なぜこの2種類にだけあるのか。造幣局の説明をたどると、どちらの穴にも、取り違えを防ぐためのはっきりしたきっかけがありました。
- 穴をあける理由は3つ。ほかの硬貨と見分けるため、偽造を防ぐため、そして材料を節約するため
- 5円玉の穴は1949年から。形のよく似た1円黄銅貨と見分けるためだった
- 50円玉の穴は1959年から。同じ銀白色の100円銀貨と見分けるためだった
01 穴があるのはどの硬貨?
今つくられている6種類の硬貨のうち、穴があるのは5円玉と50円玉の2種類です。造幣局は、穴のことを正式には「孔(こう)」と書いています。
| 硬貨 | 直径 | 穴の大きさ | 素材 |
|---|---|---|---|
| 5円玉 | 22mm | 5mm | 黄銅 |
| 50円玉 | 21mm | 4mm | 白銅 |
穴の大きさは、5円玉のほうが1mm大きくなっています。直径に対する割合でいうと、5円玉の穴は直径の約4分の1、50円玉は約5分の1。面の広さで比べると、穴の部分は5円玉で約5%、50円玉で約4%にあたります。
02 穴をあける3つの理由は?
造幣局は、硬貨に穴をあける理由として3つを挙げています。
- ほかの硬貨と見分けるため
- 偽造を防ぐため
- 材料を節約するため
最初の2つは、硬貨の縁のギザと同じ理由です。3つ目の材料の節約は穴ならではの理由で、造幣局はこれを「大きな理由の一つ」としています。ただ、穴によって1枚あたりどれだけ材料が減るかまでは、公表されていません。
ここからは、5円玉と50円玉がそれぞれいつ、何と見分けるために穴をあけたのかを見ていきます。
03 5円玉の穴はいつから?
5円玉は、最初は穴のない硬貨でした。最初の5円玉が出たのは1948年。表には国会議事堂が描かれ、大きさは直径22mm、素材は黄銅でした。
ところが同じ1948年に、橘がデザインされた1円の黄銅貨も、穴のない直径20mmで生まれていました。素材は同じ黄銅で、大きさの差は2mm。この2つが見分けにくかったため、翌1949年、5円玉は直径22mmのまま穴をあけることになりました。このとき絵柄は今と同じになり、文字だけが楷書体でした。
10年後の1959年、文字だけが今のゴシック体に改められます。変わったのはそこだけで、これが今の5円玉です。穴のない5円玉が今の形へ切り替わるまでの期間は、わずか1年ほどでした。
04 50円玉の穴はいつから?
50円玉も、最初は穴がありませんでした。1955年に生まれた最初の50円玉はニッケル製で、菊のデザイン、直径は25.0mmでした。
2年後の1957年に、100円の銀貨が出ます。色はどちらも銀白色、縁にはどちらもギザ。並べると、100円銀貨と50円ニッケル貨はよく似ていました。見分けにくいという意見が出始めたため、1959年、50円玉は穴あき・ギザなしに変わります。この穴あき50円玉の菊は、今のデザインとは違って、花を真上から見た形でした。
今の50円玉になったのは1967年です。銀が世界的に不足したことなどから、100円玉と50円玉は、安定して手に入る白銅に素材を変えることになりました。このとき50円玉は直径21mmになり、穴とギザの両方がつきました。一方の100円玉は、穴なし・ギザありの直径22.6mmです。硬貨の大きさの決まり方は硬貨の大きさの記事にまとめています。
| 年 | 5円玉 | 50円玉 |
|---|---|---|
| 1948年 | 穴なしで登場 | ― |
| 1949年 | 穴あきに | ― |
| 1955年 | ― | 穴なしで登場 |
| 1959年 | 書体がゴシック体に | 穴あき・ギザなしに |
| 1967年 | ― | 白銅・穴あき・ギザありに |
05 穴の大きさは?
今の5円玉の穴は5mm、50円玉の穴は4mmです。手に取ると、5円玉の穴のほうがわずかに大きく見えるはずです。
重さで比べると、5円玉は3.75g、50円玉は4gです。直径は5円玉のほうが1mm大きいのに、重いのは50円玉のほうです。重さの差の内訳は、造幣局の資料には書かれていません。硬貨ごとの大きさや重さは5円玉の図書館ページと50円玉の図書館ページにまとめています。
06 ギザとの違いは?
縁のギザも、今は「ほかの硬貨と見分けるため」と「偽造を防ぐため」につけられています。ギザの始まりは別のところにあり、金や銀でできた硬貨の縁を削り取られないようにすること、またはその時代の最高額面の硬貨だと示すことが目的でした。ギザのある10円玉の話はギザ10とはにあります。
なお、ギザの数は、偽造防止に関わるため公表されていません。造幣局は、硬貨は素材・大きさ・重さ・ギザの有無・穴の有無などを組み合わせて、見分けやすくしていると説明しています。
07 よくある質問
5円玉の穴の周りの絵柄の意味は?
稲穂・歯車・水の絵柄の意味は硬貨の絵柄の意味にまとめています。
1円玉はいつから今の形?
今のアルミの1円玉は1955年からです。生まれるまでの経緯は1円玉はなぜアルミ?にあります。
- 穴の理由は、ほかの硬貨と見分ける・偽造を防ぐ・材料を節約するの3つ
- 5円玉は1949年、1円黄銅貨と見分けるために穴あきに。50円玉は1959年、100円銀貨と見分けるために穴あきに
- 今の穴は5円玉が5mm、50円玉が4mm。ギザの数と、穴で減る材料の量は公表されていない

