財布の小銭を、大きいものから順に並べてみてください。500円玉の次に来るのは、100円玉ではなく10円玉です。50円玉にいたっては、5円玉よりも小さい。額面と大きさの順番は、ところどころで食い違っています。造幣局の説明をたどると、硬貨が加わってきた順番に、その理由がありました。
- 今の硬貨を大きい順に並べると、500円・10円・100円・5円・50円・1円。額面の順とは一致しない
- 10円玉は、1951年に当時いちばん額面の高い硬貨として作られた。あとから出た100円玉は、それより小さかった
- 50円玉は1967年の素材の変更で、100円玉より小さくし、さらに100円玉と見分けやすくするため21mmになった
01 硬貨を大きい順に並べると?
今の6種類を、直径の大きい順に並べました。
| 順位 | 硬貨 | 直径 | 重さ |
|---|---|---|---|
| 1 | 500円玉 | 26.5mm | 7.1g |
| 2 | 10円玉 | 23.5mm | 4.5g |
| 3 | 100円玉 | 22.6mm | 4.8g |
| 4 | 5円玉 | 22mm | 3.75g |
| 5 | 50円玉 | 21mm | 4g |
| 6 | 1円玉 | 20mm | 1g |
額面がいちばん大きい500円玉はいちばん大きく、いちばん小さい1円玉はいちばん小さいものの、その間の4種類は額面の順には並んでいません。10円玉は2番目、100円玉は3番目、50円玉は5番目です。額面が上がれば硬貨も大きくなる、という決まりはない。造幣局の説明も、その前提に立っています。
02 なぜ10円玉は大きい?
答えは、10円玉が生まれた時代にあります。今の10円玉のもとになった10円の青銅貨は1951年に、その時代でいちばん額面の高い硬貨として登場しました。直径は今と同じ23.5mmで、最高額面のしるしとして縁にギザもついていました。
つまり10円玉は、出た当時はいちばん額面の高い硬貨でした。あとから50円玉や100円玉が加わっても、10円玉の大きさは変わらず、そのまま今に残っています。ギザのあった時代の10円玉の話はギザ10とはにあります。
03 なぜ100円玉は10円玉より小さい?
100円玉が最初に出たのは1957年で、このときは銀貨でした。直径は22.6mm。すでにあった10円玉より0.9mm小さく作られています。
1959年には見分けやすくするための見直しがあり、100円銀貨と10円玉を区別しやすいよう、10円玉のほうからギザがなくなりました。100円銀貨は、大きさも素材もそのままで、絵柄だけが稲穂に変わっています。
1967年に100円玉は白銅に変わりますが、このときも、絵柄以外は銀貨のころの決まりをそのまま引き継ぎました。直径22.6mmはここで決まったのではなく、1957年の銀貨から続いている大きさなのです。100円銀貨がなぜ22.6mmだったのかまでは、造幣局の説明には書かれていません。
04 なぜ50円玉は小さい?
意外かもしれませんが、最初の50円玉は大きな硬貨でした。1955年に出た50円のニッケル貨は直径25.0mmで、のちの100円銀貨より2.4mm大きかったのです。
変わったのは1967年です。銀が世界的に足りなくなったことなどから、100円玉と50円玉は、安定して手に入る白銅に素材を変えることになりました。このとき、素材だけを変えると、額面の小さい50円玉のほうが100円玉より大きいままになってしまいます。そこで50円玉は直径21mmに小さくされ、穴とギザがつきました。25.0mmから4mm小さくなった計算です。
50円玉の穴の歴史は硬貨に穴があるのはなぜ?でくわしく紹介しています。
05 なぜ50円玉は5円玉より小さい?
ここが、いちばん引っかかるところかもしれません。100円玉より小さくするだけなら、5円玉(22mm)より大きくしてもよかったはずです。
造幣局は、この点について次のように説明しています。5円玉は22mm、100円玉は22.6mm。その差はわずか0.6mmです。50円玉を5円玉より大きくすると、22mmと22.6mmの間に入ることになり、100円玉と見分けにくくなる。そのため、結果として50円玉は5円玉より小さくなった「ものと思われます」。
造幣局自身も「思われます」と書いている点には注意が必要です。言い切ってはおらず、当時の大きさの関係から考えられる理由として示しています。
06 硬貨はどうやって見分けられている?
硬貨の見分けは、直径の違いだけに頼っていません。造幣局によると、硬貨は素材、大きさ、重さ、ギザがあるかないか、穴があるかないかを組み合わせて、見分けやすくしています。
たとえば、大きさの近い100円玉(22.6mm)と5円玉(22mm)は、色も、穴の有無も、ギザの有無も違います。大きさの順番だけに頼らず、いくつもの特徴を組み合わせて見分ける作りになっている、ということです。硬貨ごとの仕様は日本の硬貨 重さと大きさ 一覧にまとめています。
07 よくある質問
500円玉はなぜいちばん大きい?
造幣局の説明には、500円玉の大きさが決まった経緯は書かれていません。今の500円玉の移り変わりは新しい500円玉と旧500円玉の違いにあります。
1円玉はなぜいちばん小さい?
1円玉の生い立ちは1円玉はなぜアルミ?にまとめています。
- 今の硬貨を大きい順に並べると、500円・10円・100円・5円・50円・1円。間の4種類は額面の順に並ばない
- 10円玉は1951年に当時の最高額面として23.5mmで登場し、そのまま残った。100円玉の22.6mmは1957年の銀貨から続く大きさ
- 50円玉は1967年に、100円玉より大きくならないよう、また100円玉と見分けやすいよう21mmに。5円玉より小さい理由は、造幣局も「ものと思われます」としている

